アンテイ-クジュエリーとは、今から100年以上前にイギリス、フランスを中心としたヨーロッパにおいて制作された骨董的な価値のあるジュエリーを指します。
それは、職人によって制作された一点物で独特なデザインと精巧な細工で現代では作ることが出来ないものとなっています。
また、素材となる天然石は昔の方が豊富で質も良く、現代では採掘され枯渇して入手出来ないものもあります。
現在、市場に多く出回っているアンテイークジュエリー製品は以下のものです。
ジョージアンと呼ばれる、1800年~1840年代のジョージ時代のもの。
ビクトリアンと呼ばれる、1840~1900年までのビクトリア女王時代のもの。
エドワーデイアンと呼ばれる、1900年~1910年、エドワード期のものです。
更に1880~1915年、アーツ&クラフツ・ジュエリー。
19世紀の終わりへ向けて起きた芸術革命のもので、それはデザインへの新しいアプローチと手作りの製品へのクラフトマンシップを表現したジュエリーでした。
また、1895~1910年代、アールヌーヴォー期のジュエリー。
特にフランスにおいて制作された、現実の模写を避け創造性豊かで非対称な流れるようなラインが印象的なジュエリ-。代表的なアーテイストはルネ・ラリックやジョルジュ・フーケなどです。
これらの様式のジュエリーをドイツでは、ユーゲント・シュテイール様式と呼んでいます。
それに続く、アール・デコ期のジュエリーは1920年~30年代のもの。
厳密には、まだアンテイークとは呼ばれていませんが、その幾何学模様と色彩のコントラストをもった直線的なデザインは芸術的で、アンテイ-ク市場にすでに顔を出しています。
ジョージアン以前、1700年代までにつくられたジュエリーは、ほとんど現存せず、オリジナルのまま残っているものは稀少です。多くは、台座から宝石を外されリメークされたようです。
アンテイ-クジュエリーの魅力は?というと、制作した当時の職人の高い技術、そして使用された天然宝石のクオリティーにあります。
現代では誰もがジュエリーを身に付けますが、当時それらは、貴族、富裕層の人々の為のものだったわけです。そんな一握りの人々の為に制作されたジュエリーがどれ程のものか!
また、現代では多くの宝石は加工されています。サファイヤやルビー、ターコイズなどは熱処理を施して色を濃くすることが普通となっています。
100年前は、そのような技術がなく宝石はすべて天然石で未処理が普通だったのです。
未処理の宝石は何故か生命感が感じられるのは、私だけでしょうか?
また、特に現代のブリリアントカットが開発されていなかった時代のダイヤモンドですが、カット数が少なくても、ダイヤモンド自体、石そのものの質が高かったからか、光りに力強さがあり、規格化した現代のものからは生まれない豊かな表情があります。
日本ではアンテイ-クジュエリーに対して、古い物とか中古品といったイメージがまだ根強く、残念に思いますが、欧米では稀少な芸術品として評価されています。
ヨーロッパの街角には、3~40年前は、小さいけれどアンテイ-クジュエリーを扱うお店が目につきました。しかし、アンテイ-クジュエリーの市場の数が少なくなっているので、パリでもロンドンでも、そんなお店が激減してきています。
パリ、ルーブル美術館内、装飾芸術美術館は貴重なアンテイークジュエリーを見学するにはお勧めの場所です。
2階にはジュエリーの展示ルームもあり、ルネ・ラリックのブローチやネックレスは必見です。
貴重な一点物のアンテイークジュエリーですが、実際に身に付け、日々の暮らしに織り込んでいけるようなセンスの良い、状態良いアイテムをご紹介していきたいと思っています。